中国、アップルの台湾系サプライヤー2社を調査-
現場は上海から西におよそ60キロ。長年、世界のエレクトロニクス業界に製品や部品を供給してきた工業地帯だ。中国の指導部や市民の間では最近、同国の土壌、大気、それに水の汚染に対する懸念が強まっている。
中国環境当規制局で同地域を担当する当局者によると、地元当局は台湾の富士康科技集団(フォッ クスコン)と欣興電子(ユニマイクロン)が所有する工場について調べている。調査は、中国の環境活動家・馬軍氏と5つの環境保護団体からなるグループから 先週、両社が重金属で汚染された水を河川に放流しているとの訴えがあったことを受けて行われた。この当局者は調査にかなりの時間がかかる恐れがあると述 べ、違反があれば厳しく処分すると話した。「排出基準を大幅に上回ることがあれば、処分する」という。
フォックスコン(鴻海精密工業 )は4日、自社が排出基準に従っており、排水は「関連する政府規則や環境基準全てに沿って処理されている」とした2日の声明を繰り返した。また、同じ工業団地に入居する他企業の工場も同じ川に排水を放流していると訴えた。
ユニマイクロンは2日に声明を出し、排水の検査を毎日実施し、地元当局の要請に応じてモニターを設置しているほか、第三者(名称は非公開)を雇って四半期ごとに排水の検査をしてもらっていると述べた。週末に政府の調査に関するコメントを同社に要請したが、回答はない。
アップルの広報担当者はコメントを控えた。昆山市のフォックスコンとユニマイクロンの工場はともにアップルの2013年版サプライヤーリストに記載されている。
環境保護団体や従業員らによると、昆山市のフォックスコンの工場では電子コネクターや回路基板を製造する際に必要なめっき工程が行われている。一方、ユニマイクロンの工場ではプリント基板が作られている。
5つの環境保護団体によると、両社の工場は汚染された排水をHuangcangjin川とHanputang川に垂れ流している。これらの川は、 上海都市圏の水源の大部分を占める長江と黄浦江に注いでいる。とりわけ、昆山市北部の工業地帯で工場の排水を川に運んでいる2つの用水路が問題視されてい る。
環境保護団体は、この用水路の1つの近隣の地域でがんの発生が増えているとも主張したが、発生率の上昇と工場とを結びつけることはできないとの見解も示した。中国政府はこの地域の住民を2011年に移転させた。
今回の調査には何週間もかかる恐れがあるほか、汚染源の特定も難しい可能性がある。地元の住民に取材したところ、環境はここ10年で悪化したと言い、エレクトロニクス工場が増えるにつれ、昆山市の多くの川や用水路は濁り、悪臭を放つようになったという。
Huangcangjin川やHanputang川と同じ水系のTongxin川の近くに住む67歳の男性によると、水の排出場所が川の別の場所 に変わってから数年後に魚が戻ってきたが、それでも川の状況は以前とは違うという。この男性の土地はフォックスコンの工場と隣接している。
この男性は「昔はここでイカを釣っていた。水は透明で、深さ1メートルの所まで見えていた」と話した。今でもときどき釣りをするが、釣ったものを食べようとはとても思えないという。
この汚染疑惑は、中国の重金属汚染問題に対するエレクトロニクス業界の関与の大きさを浮き彫りにする。学術的な研究によると、同国の電子機器リサ イクルセンターの近隣地域では重金属の値が高いことが示されている。また、電子機器企業で働く女性従業員7000人以上を対象に中国の研究者が行った調査 が今年発表され、重金属にさらされることが職業上の危険の1つに挙げられた。カドミウムや鉛などの重金属はがんやその他の健康被害をもたらす恐れがある。
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